トイレのカタログ価格をリフォーム費用の目安にする
トイレ機器代金は値引き価格が当たり前
リフォーム業者が提示するトイレ機器代金は、そのカタログ価格から3割~5割、つまり数万円値引きされていることが多く、大量に仕入れる業者ではモデルによっては6割前後も割引いた価格を提示します。
ですから、カタログ価格で最安値が10万円でも、キャンペーン価格でタンク付き4万円以下とか、洗浄便座付きで6万円以下もあります。
こうなってくると、メーカーのカタログ価格はあてにならないと思われるかもしれません。
それでも、カタログ価格を知っておくことは、リフォーム広告や見積りをチェックするときに役立ちます。
このように、リフォーム業者からのトイレ本体の割引き価格と取替工事費の合計は、ふつうはカタログ価格以下に収まるので、異常に高くなっていないかは、それが一つの目安になるのです。メーカーも業者が工事費分ぐらい値引きできるように価格設定しています。
(ホームページから漏れて、カタログだけに掲載されているモデルは型落ちで、在庫処分に入っている可能性もあり、さらに値引きされるかもしれません。)
床のクッションフロアもまず貼り替えたほうがいいのですが、便器取り替え時に一緒に頼むと1~2万円の割安料金で済むので、それを加えても、カタログ価格内に収まる場合も多いようです。
TOTO、Panasonic、LIXILのカタログ価格(メーカー希望小売価格)
主要トイレメーカーのTOTO、Panasonic、LIXIL(INAX)に代表される現在主流の住宅用トイレは次のように分類することができます。
2018年1月現在のメーカーカタログ価格(税抜)を表示していますが、これがトイレ取り替え工事費と旧洋式トイレ処分費を含めたトイレリフォーム費用(税込)の目安になります。
組み合わせ便器(便座は別購入)
組み合わせ便器は一般に、従来からのタンク付きトイレで、便座は別購入になります。最安製品は89,600円(税抜)からですが、温水洗浄便座を加算すると最安で154,400円。洗浄便座が不要な人は、暖房便座や普通便座の設置も可能です。
洗浄便座の上位モデルを選ぶと、タンク付き便座一体型トイレと価格帯は変わらなくなります。
モデル | イメージ | カタログ価格 (メーカー希望小売価格) |
大洗浄 小洗浄 |
便座 |
---|---|---|---|---|
TOTO ピュアレストEX・QR LIXIL アメージュZ便器 Panasonic Newアラウーノ V ※アラウーノはタンクレス |
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最安モデル 89,600円~ 最高モデル 113,900円~ (洗浄便座加算で 最安154,400円~ 最高203,600円~) |
4.8L/ 3.6L 4L/3.3L 5.7L/ 4.0L |
別購入
TOTO ウォシュレット LIXIL シャワートイレシートタイプ Panasonic V専用トワレ |
個別トイレ詳細の一覧はこちら→TOTO、LIXIL、Panasonicトイレのタイプ別カタログ価格の一覧
便座一体型トイレ(タンク付き)
手洗い付きは組み合わせ便器トイレと似ていますが、高さが低く手が洗いやすいのが特徴。手洗いなしは一見タンクレストイレのようにコンパクトです。温水洗浄便座は上位モデルを採用しています。タンク部分と便座を合わせて「機能部」と呼び、便座が壊れたらタンクごと交換されます。
モデル | イメージ | カタログ価格 (メーカー希望小売価格) |
大洗浄 小洗浄 |
便座 |
---|---|---|---|---|
TOTO GG・GG-800 LIXIL プレアス・アステオ・アメージュZAシャワートイレ |
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最安値モデル 191,700円~ 最高値モデル 238,000円~ |
4.8L/ 3.6L 5L/ 3.8L 6L/ 5L |
TOTO ウォシュレットアプリコット込み。 LIXIL シャワートイレDT(貯湯式)込み。 |
個別トイレ詳細の一覧はこちら→TOTO、LIXIL、Panasonicトイレのタイプ別カタログ価格の一覧
便座一体型トイレ(タンクレス)
ネオレスト、アラウーノ、サティスに代表されるタンクレストイレ。温水洗浄便座は上位モデルを採用しています。奥行きが少ない分、空間をゆったり使えますが、2階以上では水圧の低さが問題になる場合があります。
モデル | イメージ | カタログ価格 (メーカー希望小売価格) |
大洗浄/ 小洗浄 |
便座 |
---|---|---|---|---|
TOTO ネオレストAH・RH・DH Panasonic 新型アラウーノ・アラウーノ SII LIXIL SATIS G・S・Eタイプ |
|
最安値モデル 190,000円~ 最高値モデル 344,000円~※ネオレストNX(57万円~)は別とする。 |
4.8L/ 3.6L 4L/3.3L 5.7L/ 4.0L |
TOTO ウォシュレットアプリコット(瞬間式)込み。 LIXIL シャワートイレDV(瞬間式)込み。 Panasonic ビューティー・トワレ(瞬間式・貯湯式)込み。 |
個別トイレ詳細の一覧はこちら→TOTO、LIXIL、Panasonicトイレのタイプ別カタログ価格の一覧
システムトイレ(タンクはキャビネットに収納)
手洗い付きのトイレから手洗い無しのトイレに交換する場合は、個室に手洗いを設置する必要が出てきます。新たに壁の中に給排水管を通すには工事費がかなり高くなりますが、システムトイレの場合はトイレ本体への給水管を分岐させて、キャビネットの中や棚の下を通すので、割安になります。
また、タンク付きトイレでもキャビネットで隠すのですっきりしたレイアウトになり、トイレ本体も若干安くなります。
モデル | イメージ | カタログ価格 (メーカー希望小売価格) |
大洗浄 小洗浄 |
便座 |
---|---|---|---|---|
TOTO レストパル I型・L型 レストパルF I型・L型 LIXIL リフォレI型・L型 ※Panasonicはアラウーノのトイレと組み合わせるためのアラウーノカウンターを別途販売。 |
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手洗い無しI型最安値モデル 232,000円~ 手洗い有りL型最高モデル 500,000円~ |
4.8L/ 3.6L 4L/3.3L |
グレード選択 TOTOレストパル ウォシュレットアプリコット F1A~F5AW 109,000~179,000円 グレード選択 LIXIL リフォレ シャワートイレH1~H5グレード (+0~8,350円) |
個別トイレ詳細の一覧はこちら→TOTO、LIXIL、Panasonicトイレのタイプ別カタログ価格の一覧
このように、組み合わせ便器の最安値でも10万円以上で、そこから最低3割は値引きされるので、最安トイレ本体は高くて約7万円。洋式トイレから洋式トイレへの交換・設置工事は、旧便器処分費込みで3万円程度なので、実際のトイレリフォーム費用がカタログ価格を超えることはまずありません。(床や壁などの内装工事は別とします。)
※和式トイレを洋式トイレにリフォームするときの相場はこちら。
こうしてみると、業者のリフォーム見積り費用をメーカー各社のカタログでチェックすれば簡単なようですが、トイレの機能やデザインが進化した分、情報が多すぎて、コスパを比較するのはなかなか大変です。
最初は満足していても、あとになって「あの時わずかな料金差でこんな選択肢があると知ってたらそっちを選んだのに…」ということは十分あり得ます。
いまリフォームを考えるご家庭では、20年ぐらい前に普及していたトイレをご利用中の場合が多いと思いますが、ざっと頭に入れておいたほうがいいと思われることをまとめてみます。
見積書チェックの前に知っておいたほうがいいこと
20年前のトイレと比べると、いま売られているトイレはデザインだけでなく、洗浄能力や汚れにくさなど、大きな進歩がみられます。
いまは、メーカー希望小売価格10万円前後、もしくは、キャンペーン価格や量販店の格安価格が4万円以下ぐらいの最安値モデルでも、
- 掃除のしやすいフチなしトイレで、
- 5リットル以下の水で洗浄できる節水型トイレが主流です。
組み合わせ便器は便座を加算した金額で比較する
TOTOピュアレスト、LIXILアメージュに代表される従来からのトイレは「組み合わせ便器」のトイレと呼ばれます。タンクとは一体なのに、便座が「組み合わせ」(=別購入)なのです。そしてPanasonicアラウーノVのように、タンクレスでも便座が別購入できるものは組み合わせ便器のトイレとなります。
ウォシュレットをはじめとする洗浄便座が普及するまでは、トイレに便座とフタ(便フタ)がついているのは当たり前でしたが、今では含まれているかどうかを確認しなければいけません。
「組み合わせ便器」なら、こんなふうにフタのない写真があれば分かりやすいのですが…、


カタログやWeb上の写真は見栄えのためにたいてい便座と便フタを載せた状態で表示されています。「組み合わせ」便器と書かれていれば、便座は別購入です。便座もカタログ価格から最低2~3割は値引きされると考えて計算してください。
なお、洗浄便座というのは「温水洗浄機能のついた暖房便座」のことで、「暖房便座」としか書かれていなければ、洗浄機能がないのがふつうです。
洗浄機能が不要な人には「お求めやすい」カタログ価格2万5千円ぐらいの暖房便座を勧めている場合があります。文字通り、温めることができる便座と便フタだけで、トイレ洗浄機能は付いていません。
暖房便座もホームセンターやネットのほうが安い場合が多く、暖房もなしの普通便座に便座シートを自分でつけるだけでいいと思う人は送料込みで4千円以下で購入できます。
ちなみに、時々勘違いされるのですが、洗浄便座が行う「洗浄」というのは、おしり洗浄やビデ、あるいはノズル洗浄、最近では便器内のシャワー洗浄などのこと。タンクや便器がリットル単位の水で行うトイレ洗浄(大洗浄・小洗浄)とは別の話になります。
(便座)一体型トイレは便座とタンクが一体
組み合わせ便器では、別買いする便座以外のタンクと便器はセット価格ですが、一体型トイレの場合は、便座とタンクがセットで「機能部」(主に樹脂製)と呼ばれ、便器(陶器)とは区別されています。
便座を交換したいときのことを考えればわかりやすですが、こうなります。
TOTOのGG、GG-800、LIXILのアメージュZ/ZAシャワートイレ※やアステオ、プレアスなどですが、洗浄便座が壊れただけでもタンクごと替えなければなりません。でも、もしタンクの機能が進化したときに、便器据え置きのまま機能部だけ取り替えられるとも考えられます。
※”アメージュZ便器”と表示されていれば組み合わせ便器であり一体型ではありません。
大洗浄5リットル以下をめざそう
現在ベーシックタイプのTOTOピュアレストやLIXILアメージュでも、最新モデルは大洗浄でも5リットル以下の水しか使いません。(アラウーノの最安モデル、ニュー・アラウーノVでは5.7L洗浄。)マンションタイプでは6リットル洗浄が限界のときもありますが、それでも数年前のモデルはよくて8リットル洗浄です。
LIXILサティスでは、大洗浄4リットル以下を実現しており、今後さらに節水率が高くなると予想されます。
そしてこれら最新の洗浄力のトイレはすでに、一般的な値引き価格で普及しつつあります。
いまトイレリフォームを考えるご家庭では、2001年頃まで製造されていた13リットルや10リットル洗浄、あるいはもうちょっと新しい8リットル洗浄をお使いかと思いますが、できれば5リットル以下をめざしてください。
TOTOかINAXの場合、洗浄水量はこちらでチェックできます。
2011年版 TOTO商品検索ハンドブック 〔大便器(床排水)編・(壁排水)編 〕
2009年版 INAX商品検索ハンドブック 〔大便器編〕
4人家族の場合、大洗浄13リットルから4.8リットル(小洗浄3.8リットル)に変わると、年間で1万4千円ぐらい水道代が節約できるといいます。
すでに8リットル洗浄だった場合、あるいは一人暮らしで外出時間が長い生活なら、月に数百円程度の節水かもしれません。
でも、節水というのは金額の問題ではありません。
災害時の断水経験者なら痛感されたのではないかと思いますが、地震の多い国では生活用水の必要量が1リットルでも少ないことはとても重要ですし、日頃の安心感にも繋がります。
2006年以降に製造されているトイレはすでに大洗浄6リットルが主流で、2010年以降は4.8リットルも多くなっていますが、未だに集合住宅用などで在庫がある8L洗浄トイレが「節水型トイレ」と称してで売られています。
そして、同じブランドで数千円の差で売られているトイレが6リットル洗浄や5リットル洗浄以下だったことにあとで気づいたりします。
集合住宅のオーナーさんならともかく、自分が使うトイレはできれば最低でも大洗浄5リットル以下を選びたいものです。
“タンクレス+手洗い”より割安なシステムトイレ
タンクレストイレが普及しつつあります。タンクをなくして水流の流れを工夫して洗浄するトイレで、その分、狭い個室が広く見えて、レイアウトに幅がでます。続けて使用する時でも水が溜まるまで待つ必要がありません。
ただし、タンクレストイレは0.05MPaの最低水圧が必要ですが(アラウーノS IIでは0.07MPa必要)、マンションの2階は50%の確率で水圧が足りません。3階以上はまず設置不可能です。
手洗いがないので、別途、手洗いを設置する必要が出てきます。(余談ですが、従来の日本のトイレのタンク上の手洗い器に感心する来日客は結構います。)
タンクレストイレで奥行きが節約できた分、座ったときの前方(トイレと逆側)に手洗い器を設置でいることが理想ですが、設置できる場所が便器後方の壁際だけになったりします。
トイレの脇の広さにもよりますが、そうなると、一般的なタンク上の手洗い器よりも、不自然に体をねじって手を洗う必要があるので注意が必要です。
もしスペースがあるなら、トイレをタンクレスに見せながら、手洗いも簡単に取り付けられるのが、TOTOレストパルやLIXILリフォレなどのシステムトイレです。タンクを隠すキャビネットには、消耗品など他のものも収納でき、トイレ用給排水管から管を延ばして壁工事なしで手洗いを設置することができます。
またトイレ側面に紙巻き器のついたトイレ専用カウンターを取り付けても同様に手洗い器設置が可能です。システムトイレよりもオシャレに見せる工夫がしやすいかもしれません。
内装はできるだけ便器取り替え工事とセットにする
これはもう誰が考えてもわかることですが、旧便器を撤去して、新便器を設置する前が床や壁、天井の貼り替えは一番行いやすく、その分、割安料金で発注できます。床のクッションフロア程度なら、工事費込みで1万円以内で済む場合もあります。
内装にこだわりたい場合、床、壁、天井だけでなく、手洗い器やペーパーホルダー、タオル掛けなどでも、トイレメーカーのカタログだけでも豊富なバリエーションが揃っています。
輸入壁紙などを使いたい場合は、ネット検索でみつけたものを取り寄せて、工事で使ってもらえるか見積り依頼の段階でたずねてみましょう。
リフォーム業者から見積りを取り寄せる前に、上記のようなことをざっと頭に入れておけば、比較したり判断するときに役立つかもしれません。
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